日々は去るもの過ぎるもの。

だから書き留めてみるのだ。

PPUGに行ってきた。

 

ppug.connpass.com

PayPal、実はお恥ずかしながら、一度も使ったことがなく……。
ウェブシステムに微妙にかかわったり、CMS 絡みの話をすることがあるので、ショップ系の運用に便利そうだし知っておこうかなという気持ちはあったものの、何がどう便利なのかピンと来ていなかったのです。

今回 PayPal UserGroup が発足したと声をかけてもらい、初心者向けだというので、第 1 回 MeetUp へ行ってきました。

これが言葉通り「初心者向け」で、わかりやすくて面白かった!

初めて登録するひとに向けた情報が多く発信されていて、サービスの説明を懇切丁寧にしてくれた MeetUp でした。

当日の資料はこちら。

ppug.connpass.com


主催の新井さんの『paypalとの出会い』は、とあるハッカソンとのこと。
彼女は、普段は行政書士として知財絡みの勉強やスタートアップ支援なども行われており、アイディアソンやハッカソンにも頻繁に参加しているアクティヴ女子。

現在お仕事の中では、外国人在住者のビザ申請などに対応することもあり、海外送金の費用負担が大きいし、時間もかかるという悩みからPayPalに辿り着いてトライ中だそうです。

PPUG でのルールはシンプル。

    • 他人のことを感情で否定しない
    • 一方的な話じゃなくて議論や相互の共有にしたい、フラットにやりとりしたい
    • 空気と時間を読んで、名刺交換はほどほどに……w

※詳細は資料をどうぞ!

月1回位を想定されているそうで、地方でもやりたいと積極的なUG。キャラクタ名も募集中だそうで、できたてほやほや感がありました。

すでに 5月17日 に第 2 回が予定されています。ペース早い!

 

というわけでPPUG、1 人めの登壇者は @kumajoi さん。

『今さら聞けないPayPal

このセッション、PayPal 未登録で初心者まるだしのわたしには、まさにどんぴしゃ。知りたいポイントがとてもわかりやすくて良かった! まさにユーザーグループいっぱつめにはふさわしい話でした。

PayPalってなに?」ということを、概要から利用のメリットから登録方法まできちんと抑えてくださったので、これは新しい参加者が増えたら定期的に話してもらえたらいいのに……! と個人的には思った次第。 

 

さて、PayPalは、メールアドレスを利用したオンライングローバル決済サービスで、メールアドレスが口座番号になるようなイメージ。

このサービスのすごいところは、20以上の通貨に対応しているという点で、グローバルなサービスを考えたときに大きな手間となる、異国間の支払いの悩みを解消してくれるすごいヤツなわけです。

日本でのPayPalサービスとしては、

  • アカウントでの個人間送金
  • カードリーダーによる決済

については残念ながら未対応とのことでしたが、法律なども多々絡むので、全世界で同等のサービス提供というわけにはいかないという理由に納得。

1998年創業のデジタルウォレットで、1.97億人のアクティブユーザー(1年に1回は利用しているユーザー)がいる人気サービス。カード番号も不要。

個人的にびっくりしたのは、買い手保護の制度、売り手保護の制度があり仲介に入ってくれる問題解決センターがあるというところ。支払ったのにモノが来ない! というトラブルについてある程度の仲介保証があるのだそうで。これ、相当の工数がかかるところだと思うので、そこにきちんと介在してくれるという安心感はすごい。特に、異国間のトラブルには言語問題もつきものなので、ある程度保証があるのは、まったくないよりも断然ほっとします。

(しかし、どのくらいの裁量があるんだろう……?)

※なお、物理的なモノではなくデジタルコンテンツの場合には、買い手保護はあるが売り手保護はほぼ無いということですが、事例によるのでまずはサポートへ相談、とのこと。

ここから、気になる手数料の状況や、アカウントの作り方の説明が。こういうところを聞きたかった! とばかりに、わたし以外の方たちもかなりメモを取っていたように思います。

  1. パーソナルアカウント
  2. プレミアアカウント
  3. ビジネスアカウント

アカウントには上記の 3つがあり、基本的には支払いをしたいというだけであれば、パーソナルアカウントで十分だそうです。ショップ運営など、支払われたものを受け取るときにプレミアアカウントなどが必要になりますが、何れも本人確認が必要で、確認の書面(はがき)が送付されます。 

ショップと言ってもプログラムはできないし、運営できないという方でも安心な、メールで請求書送信をする方法から、あるいは決済ボタンを作成するソース提供もあり、定期的な支払い、重量課金や複数人へのまとめて支払いも可能。API不要で手軽に使える決済サービスという、導入ハードルは低めなところから、きちんとプログラムを組んでAPI連携をさせる方法など、多種多様な導入方法が用意されているところに安心感があります。

ウェブはいまや、CMS、Jimdo、Wixなど、個人でも手軽に作成が可能ですが、ウェブ運営のポイントはやはり保守、維持、そして決済系のシステム連携。そこにじゅうぶんなサポートがあるサービスが身近にあることを正しく知れただけでも、収穫多い集いでした。

もちろん、PayPal以外にも便利な決済サービスは多数ありますし、登壇者の方も、

「手数料は最安ではないけれど、チャージバックや入金から口座引き出しのリードタイムを考えて選択すればいい。APIの知識がなくてもhtmlタグの簡単な知識で使えるし、それぞれのメリットデメリットを選択できればいいのではないか」と仰っていましたが、それにしても長年に渡ってのナレッジが積み重ねられているサービスだなあということをとても感じました。

 

質疑応答のなかでは、サポートの対応言語(日本語対応の電話サポートもある!)、一方的な送金などは法律上の問題で出来ないので、何らかの物品は伴う必要があることや、国際間の場合には為替変換+受取手数料がかかることなど、より実際の利用に即したやりとりも。

日本はカードのみ(デビッドカードOK)ですが、国によっては口座との紐づけも可能。SNS連携などのAuthはできないけれど、PayPal ペイパルのログインAuthは可能など、PayPal初心者には充実した「はじめてのPayPal」情報が盛り沢山でした。

 

『dotstudioでのペイパル活用よもやま話』

2人めの登壇はのびすけさん。お見かけしたことのあるお名前だと思ったら、先日自分のfacebookタイムラインを賑わせていた、養老乃瀧ハッカソンの主催の方でした。


IoTまわりをやっている会社に勤務されており、決済周りの経験値が上がっているそうです。

hackathonpost.com

ここで面白いデータの話が出ました。

過去に行われた有償のITイベントで、集客の試行錯誤をしていたなか、connpassでの決済メニューとして、LINEPay と PayPal を用意されたそうです。

その際に、PayPal は、LINEPay よりも 500 円多い金額に設定したにもかかわらず、決済者の選択は PayPal のほうが多かったという結果が!

もちろんどちらが良い・悪いではなく、ただ、エンジニアは PayPal ユーザーが多いのではないかというひとつの推論は浮かんできます。LINE ユーザーでなければまずは LINE 登録が必要になる手間などを考えると、エンジニア対象のイベント主催者は、PayPal アカウントを持っていたほうがより良いのではないかという話でした。

確かに、一定以上の年齢層のエンジニアの場合、LINE アカウントと PayPal であれば、インターネットの歴史的な意味でも、PayPal アカウントのほうが所持率は高いかもしれませんね。

ところで、手続きのひとつである、「アカウント認証のはがき」受け取り。

集客や販売システムの構築を超えて、もっともの難関はむしろ、このはがきの受け取りにあったそうです。思わぬ落とし穴。エンジニアあるあるのようですが、就業時間が不規則だったりなんだりでの、「不在票だけが溜まっていく」事象により、認証までに半月以上経過したそうで……。おおう、自分も不在がちなので、よくわかります……。

ここでも言われていたのが、海外向けの販売などにあたって、初めて取引する国との交渉の不安と、そこに、決済に PayPal が入ることにより、仲介があるという安心感が強くなる、そのくらい世界中で共通認識率の高い決済システムであるということ。

また、企業にはつきものの、経理作業でも活躍したそうで、のびすけさんの会社では「MFクラウド会計」というサービスを利用されているのですが、

biz.moneyforward.com

この「MFクラウド会計」ではPayPal 連携があるというのもポイントになったとのこと。

ものを売るとき、ちょっと大変なのは、売上金の所在がばらついてしまう点だそうです。例えば、イベント参加費ひとつをとっても、現金、PayPal、LINEPay、SQUARE、口座振替、クレジットカード決済などなど……。特に、展示系物販では、カード決済はOKだけど現金はNGというルールがある場合も。でも、会計サービスと連携していてくれれば、自動的に仕分けまで行われるというお手軽さ。これは、多くの決済システムで販売層を広げたい、けれど経理面の手間が……という中小企業や個人商店などにもいいお知らせだなあ……。金銭管理の苦手な自分には、とても響いたポイントでした。

また、実際に購入者から、「商品が届かない」と言われた時の事例紹介も。

実際には商品が届いていないのに支払わなくてはいけない、あるいは遅れて到着したのに、予定日に来なかったと支払われないままということがないように運用されている実例の一端を実際に聞けたのも良かったです。


『STORES.jpへのペイパル導入』

最後は、STORE.JP のかつまたさん。

STORES.jp|オシャレなネットショップを最短2分で無料作成

STORE.JP ってカード決済ができるのに、何故ここで PayPal について語るのかなーと思っていたのですが、非常に大きなメリットを知ることがでました。

「いままで STORE.JPでは、JCBカードが使えなかった。けれど、PayPal 対応を行うと、PayPal 経由で、実質JCBカードでの決済も可能になる」

なるほどー!

クレジットカードの対応幅が広がるというのは、ユーザー層を広げることにもなるし、特定のカード会社ごと対応していくという形ではなく、PayPal を挟むことで、ひとつではなくて多様な決済対応ができ、かつ、今の不便さも解消できる……ユーザビリティの向上がひと手間で大きく変わるという効率の良さ。目から鱗でした。

導入にあたっては、事前に十分なPayPal社との打ち合わせを経て、ドキュメントをとにかく読み込んだそうです。サンプルの仕様書ももらえたということで、かなりドキュメント類に頼ったということでした。

PayPalAPIは、三種類あります。

  1. ClassicAPI(NVP)(インターネット上に情報が多い)
  2. RESTAPI      (Qiitaに少し情報がある程度)
  3. braintree     (日本の情報が少ない)

実装面になると、開発さっぱりの自分にはやや難易度の高い話で、メモはだいぶんとったものの、資料を直接見ていただくのが確実な情報かなと思います。

注意点もいくつかあり、実装の際には、curl コマンドでリクエストとレスポンスの確認が必要ですが、リクエストフィールドごとに制限があるので、ドキュメントは必読ということでした。もちろんドキュメントは英語で、ここがやはり難関だったとか。

いくら英語自体はスムーズに読めたとしても、いろいろな解釈ができる部分もあり、ネイティブではない言語のドキュメントをもとにすることの大変さを実感したそうです。
決済時のトークンの話や、PayPal 社から提供されるサンドボックス環境があるという話(サンドボックス環境はがんがん利用したほうがよいと推奨されていました)、それからエラー表示の話など、初めて連携システムを組もうとしている方には、たぶんかなり貴重な情報が盛りだくさんだったように思います。

例えば、10486エラーというのは、「決済者がカードが何らかの理由で決済不能だった場合」に多く出ます。
このエラーの場合、PayPal のシステムで再び決済情報を表示した場合に、決済ができなかった理由を表示して再決済するようにできます。

また、そのほかの注意点として、アメリカ決済の場合は、購入者の住所に制限が課されているので、アメリカを販売(決済)対象として想定している場合は対応が必要だそうです。
※たとえば、州の名前が略称じゃないと登録できない、など。

商品名称や商品自体が理由で決済保留になったりするそうで、海外文化や海外の歴史事情にも配慮しなければスムーズにいかない事例など、国外への決済サービスを考えるにあたって、すぐに思いつかないようなケースも紹介されました。

質疑応答の中では、「サンドボックスと実環境で違うところがあったかどうか」という声も。

回答としては、「おそらくエンドポイントのURLくらいしか変わらないと思うが、サンドボックス用のアカウントをディベロッパ用の画面でつくらないといけないので、注意が必要。一通りドキュメントをちゃんと読みこんだほうがよい」というアドバイス

この点は後程の LT でも話題に上がったので、すぐ手を動かして実装に入りたい派にはよく引っかかるポイントなのかもしれません。

また、「開発中と運用での想定に差があったか?」という質問が上がりましたが、差はなかったものの、仕様ミスがあり、『値引きクーポンの扱いをするにあたり、フィールドの扱いが不明だったため、配送料のフィールドで値引きを入れたりしていたところ、その部分などでトラブルがあった』そうです。
実際には、『商品の中に値引きアイテムを入れて、商品を追加するようなイメージ』で扱うべきだとのいうことでした。

ハマったポイントは、「ドキュメントを読む時間」、日本語のマニュアルにはやや情報が古いものもあり、正誤判断に時間がかかったとのこと。

テストアカウントでエラーの再現をさせたりすることは可能で、決済保留などは管理画面を見ているしかない(何らかのアラートなどはキャッチが難しい様子)、など、実際の実装にあたっての懸念に次々答えてくれました。

ちなみに、STORE.JPでは、PayPal のアカウントはあくまでも STORE.JP が持っており、そこから出展者へ振り込んでいるので、出展者が個々で PayPal アカウントを持つ必要はないため、PayPal 導入にハードルを感じる方でも気軽に決済方式として採用できそうです。

自分でも驚くほど長いレポートになりましたが、初心者向けに必須の情報が盛りだくさん、惜しみなく公開されたので、非常に面白い会でした!

このあとはビアバッシュと LT 登壇(LT資料も公開されています)。

ハッカソン優勝者の方、鯖江市めがね米などを扱っている方や、WordBenchの主催者さん、Pixiv のエンジニアさん、初めて日本上陸した某外資系企業の女性など、IT界隈でもウェブやシステムなどひとつの業界や業種、職種には偏らない会でした。

次回は 5 月 17 日!

ppug.connpass.com

実装・運用編だそうです。エンジニア対象だけではなく、CMS連携など、非エンジニア対象の会も検討されているそうなので、システムやプログラムに明るくない方でも、テーマによっては気軽に参加できそう。また行ってみようと思います。