日々は去るもの過ぎるもの。

だから書き留めてみるのだ。

「お客様のことは複雑すぎて、お客様にしかわからない」

ドラッカーといえば、近年、「もしドラ」という小説や漫画、ドラマでご存知の方も増えた、経済界の偉大なコンサルタント
実は我が家にも、父か叔父の蔵書として幾つか著作が残っていたけれど、お恥ずかしながら、現時点でわたしが読了しているのは、それこそ話題の「もしドラ」のみである。

機会あって、小宮コンサルタンツドラッカーを専門とされる経済・マーケティング・コンサルタント 村瀬氏マーケティング講座を受講することになった。

まず、少し面白おかしく書くとすれば、第一の感想は、「あ、これ、●●ゼミでやったやつだ!」というところ。
すべて知っていたということではなくて、この考え方はもしかして……という、閃きのヒントとなる土台が、自分のなかにかろうじて薄っすらとできているのだなということ。

講師の村瀬氏は、「右脳」のタイプだと自称された。この業界では珍しく、理屈ではなく感覚で伝えるタイプなのだと仰る。ジャズ・ピアノもセミプロだということだったが、そのためではないかと自己分析をされていた。右脳タイプ、ちょうど年末に受けた、「脳活学講座」と、その際に読了した「どんどん脳を使う ~左脳・右脳×2次元・3次元   4領域を鍛えあげて 明日の仕事を変える方法~」が、脳内でぴこぴこと点滅。

では、マーケティング、つまり顧客分析を含む商戦、市場解析ということはいったいどういうことか、といえば、それは「お客さま視点に立つ」ということに他ならない、とドラッカーは言っている(と村瀬氏は主張された)。
この、「お客さま視点(市場)」は、どこにあるのか、というとそれは、「向い合ってコミュニケーションを取ることではなく、お客さまの横に並んで見る」ということ。
これは、Microsoft テクノロジーセンター センター長である澤さんが、昨年2015年06月に、CLR/H with Windows女子部のコミュニティ勉強会でまさにそのまま仰っていたこと、そのものだ。

村瀬氏は実際にわたしたちの席の側に立ち、くるりと先ほどまでご自身が立っていた場所に対峙する格好になった。そうして、
「たとえば今、わたしが提供するサービスを、わたしがみなさまの視点で見ますと、ホワイトボードの文字が掠れていて、後ろの方には見づらいな、だとか、スクリーンに映したデスクトップ画面にポップアップアラートが出ているな、などと、みなさまの方を向いていた時には気が付かなかったことに気が付きますね」と仰った。受けているサービスをリアルタイムで「お客さま視点」で解説してくださるので、おそらく全員具体的なイメージを描いて、【横に並ぶ】ことの意味が理解できただろう。この説明をリアルタイムでおこなってくださったこと自体が、右脳タイプとして、「マーケティング」を見える化して提示してくださった、ということではないかと思う。この運びは、とても興味深かった。

また、販売を、企業視点として、「これ、いいですよ、買いませんか」と提示する方法と、「何にお困りですか、そういうことならこういうものがありますよ」とお客さまに添って提示する方法、この視点の違いは、Microsoft エバンジェリストである西脇さんエバンジェリスト講座でご教示いただいた、「3種の視点(主観的な視点、神様の視点、お客様側の視点」に繋がる。

おかしいな、と思うこと、普段と違うな、と思う変化。
これはマーケティングを徹底する機会であり、ドラッカーの言葉を借りるならば、
「お客さまのことは複雑すぎて、お客さまにしかわからない」という、いつでも機会はお客様視点から生まれるということを意識して、常に気づくためのアンテナを研ぎ澄ませておかねばならないという観点になる。

では、この「気付き」、つまり自分たちの常識を超えて、お客さまの視点や認識と擦りあわせていくこと、これはWindows女子部で何度も学んだ、「要件定義」で繰り返し考えてきたことで、こうして次々に点が線になる瞬間は、とても楽しい。
そして、同時に、これだけ繰り返し学びながらも、気を抜けばするりと掌からこぼしてしまうのが人間で、改めて意識すれば記憶の底にも、こころの底にも、それは確かにあるのに、いつしか残滓だけになっていることに気がつくことになるのだと自戒する。常に、日々ひとは反芻し、反復し、そうして身に付けるのだ。行動も、思考も。覚えていると思っていても、薄れていることに気がつく。そういうことも含めて、いろいろな自分の意識の散漫さを痛感した研修となった。

ちなみに、最も基本的な質問として、ドラッカーの多数ある著書のなかで、講師の村瀬氏が最もお勧めする著作を伺ったところ、やはり「マネジメント」ということだったので、欲張らずにまずはきちんと、近日中に読了したい、所存。