日々は去るもの過ぎるもの。

だから書き留めてみるのだ。

ファシリテーターズ・インタビュー Vol.09

2016/01/26

今回は、関満徳さんと神戸和佳子さんの、ファシリテーターズ・インタビュー

まずは今回も、速記的にメモをした、対談そのままのまとめを。
録音の書き起こしではないので、発言者の混同や、あるいは会話の補足部分において、何らかの認識の齟齬があった場合には、文責はわたし個人にあることを書き添えておきたい。

—–

(遅刻して入室。おそらく関さんのファシリテーション術について、「非ITの神戸さんに、難しいIT用語を使わずに説明する」という制約があるようです)

神戸さん:
テーマをあげて……それで結果が出なかったようなことはないんですか?
たとえば、この、関さんが設定された穴の、途中途中で落ちていくというか。
そういうときはどうするんですか?

関さん:
5分とか、そういう、時間時間で……タイムセクションを、区切りをつけてあげて。

神戸さん:
スモールステップをつくってあげるというのは、良いファシリテーションですね、ということを。

関さん:
うん、そうですね、参加者が体験できるようにする、という。

神戸さん:
(大きな壁のあるケースのイラストをさしながら)
簡単には超えられない壁があるときには、たとえばそれを避けるとか、少しずつ崩してから行きましょうということを教えるわけですよね、なるほど……。
こことか、ここ(ひとつずつのステップの到着地それぞれを順にさして)次々、次の到着地が決まっていくわけですよね。
それって、どんなメンバーにもどんな状況でも、きちんと嵌まるファシリテーションって、あるんですか?

関さん:
(困った顔で笑って)
無いと思います。
そんなメンバーでも、どんな状況でもっていうのは無いから……だから全体を細かく見ていって、ファシリテーターの負荷ってだからすごく高い。
テーブルを分けてグループを創って、それぞれのグループを見て……(聴取者の法を見ながら)喧嘩しだすテーブルっていうのもあるんですよ、ね(笑)

神戸さん:
(笑)

関さん:
例えばですけど、ゲスい話をすると、学生さんと、自腹きって来た社会人を一緒のテーブルにすると高い確率で喧嘩になる。会社のお金出来たモチベーションの低いひとと、自腹で来たモチベーションの高いひとと一緒にすると、激論が起こったり殴り合いが始まるんですよ(笑)
ね、(聴衆者を見ながら)本人がいるんで、その状況とてもわかりやすいと思うんですけど(笑)
だから自分で開催するとき、ファシリテーターをするときに、あらかじめそこを考えておいて、心構えというか、しておかないと、穴に嵌る可能性は高い。

神戸さん:
たとえばですけど、10人とか20人? とかがいて。

関さん:
うん、60人とかですね、私がやってるのは。

神戸さん:
その60人はみんな、(障害や落とし穴のある、スタートとゴールのイラストをさして)ジャンプ力が違うわけですよね。ゴールまで飛べる……1人のひとは3回に分けて飛んで、辿り着くかもしれないし、1人のひとは、1回で飛ぶかもしれないし。

そうすると、このスモールステップの数って、(ひとの数だけあって)無限になってしまうかもしれないんですけど。
それを、どうやって、おなじゴールに辿り着かせていくかっていうところが知りたいんですけれども。

関さん:
はい。
えっと、わたしがワークショップをデザインするときに、分け方にしている方法があって。
まず2つあって、思考の発散と、思考の収束という、何かを出したりまとめたりっていう、それぞれの行為をする時間、タイムボックスをつくって。

神戸さん:
その、思考の発散と、思考の収束の具体例をください(笑)

関さん:
たとえば、ひとつの言葉から思いつく言葉をたくさん出してくださいとか、バット出していくのが発散、こどもむけのワークショップとかでやりますよね、
それで、今度はそれグループわけしてくださいとか、まとめてくださいとか、いくつかあるなかから、選んでくださいとかが収束。

神戸さん:
それをそれぞれいっぺんに行うのは大変なので、それぞれ分けて行うと、そういうことですね。そうすると、時間内に、スモールステップを進んで、まとまる……。
他には有りますか?

関さん:
自分が体験したりとか、過去の経験とかからぽんぽん出てくるようなものと、そうではないもの、あの、ぐぐったりしないとわからないような、そういうものではなくて。
それを分けて。

神戸さん:
普段から自分で考えていることとかで、すぐぱっと出てくることと、普段ぜんぜん考えていなくて、出てこないものとかは、分けていくんですね。

関さん:
他にもあるんですけど、まず発散と収束で分けて、そういうふうにアウトプットを分けていくとすると、それを出すために今度はおおきいものを削ぎ落として、逆に選択肢を出していったり、たとえば9つ一気に書かないといけないとかグループのなかでたくさん出してもらってまとめたりとか。

神戸さん:
ゴールに向かうまでに一直線でいいとき、調整しながら進まないといけないときで、ワークを分ける?

関さん:
シンプルに単線的な場合と、やっぱり複数のときとは(分ける)。

神戸さん:
そもそも、どうして、そういうことを人々に伝えるというか、実践しようと思ったんですか? なにかきっかけとかはありますか?

関さん:
もともとITに入ったのが、ひとの役に立つものを世に出したい、自分で作りたいと思って。それで、プログラムを書いてつくっていって、でも、プログラムを書いていただけでは、世の中は変えられないので、それでいま、方法とか、考え方、思考の仕方とかをやってる。

神戸さん:
プログラマさんの、お仕事の考え方がよくわからないんですけど、お客様から、つくってー、といわれて、はい、できましたという仕事、っていうふうに考えていていいですか?

関さん:
そうですね。

神戸さん:
そうすると、うまくつくったり、早く作れるということはあるかもしれないけれど、そのお客様のためにはなったかもしれないけれど、その先々に……世の中の何になったのかという実感がない……?(という感じでしょうか)

関さん:
そう。

神戸さん:
うん(頷いて、)で、

関さん:
で?(ちょっと困ったふうに笑いながら)

神戸さん:
その次のステップというのは、どういう感じですか?

関さん:
(うーんという顔で笑う)
非IT向けに。

神戸さん:
非IT向けに(笑)
わたしが(関さんに)インタビューをやるというのはこういうことですよー(聴衆席の高柳さんに向かって)
わたしの責任じゃないですよ。ね、高柳さーん(笑)

高柳さん:
大丈夫です、いいです、最高です!(笑)
普段はなすことばで話すと、わかったようでわかってなかったりするからね。
得意ですからね、IT業界、そういうの(笑)
わかったと言ったものがわかってなかったり、わからないままだけどわかった気にさせる(笑)

聴衆:
(笑)

神戸さん:
それで、つくったものに疑問を抱かれて、それで、次に?

関さん:
えーっと、距離感の話をします。
(ホワイトボードにひとのイラストを描く)
つくりたいひと(青)と…。つくれるひとね(黒)。
パワーバランスの話をするとすると、こう……

1. 作りたいひと————-作れるひと。
  で、こういうの創ってー、といって、できたよー、と……。

まあこれはほんとに、丸投げだと思うのですけど、この二人でやってうまくいくことって実はあんまりなくて。
ここに(作りたいひとと作れるひとの真ん中に、もう1人描く)もう1人登場人物がいるんですね。
どうやったら実現できるか、仕組みを考えるひとが(いる)

で、ちょっと話が変わっていって、(ホワイトボードに続きで)
2. 作れるひとに、作りたいひとが話す言葉を持っていなかったときって、こんなことやりたいなーって、……そうしたら、こう作ればいいよって。

  作りたいひと——–真ん中のひと——–作れるひと
  で、こんなことやりたーい、といって……そしたらこう作ればいいよ、とこう、(伝えて)、できたよーとなる。

3. そもそも、何やればいいかわからないっていうひとがいたときに、何かこう、もやっとしているおのがあって、

神戸さん:
何か不便なんだよねーとか

関さん:
そうそう、そしたらこの(真ん中をさして)おせっかいモードのひとが、パワーモードのひとがね居たとして、そのひとが一緒に、何創ったらいいかを考えてあげる。それで、作ってーってこう(右に矢印を引いて)できたよーとなる。

ITの世界でいうと、iPhoneアプリとかAndroidアプリとか、こう、たとえば主婦が家計簿アプリ作りたいッて思って、(1を指す)こんなのつくってー、できたよーって配信する、
それか、(2をさして)主婦のひとが扱いたいものってこういうものだなって思、どんなふうにしたらいいかわかんないっていうときに、じゃあ、こういうデータを入れていくといいよねってことを(真ん中のひとが)言って、できたよと。

でも、3.は主婦が何に困っているのかもそもそもわからない、
で(真ん中をさして)そうしたら、駅で主婦がね、こども抱えて困っているときがあるから、エレベータとかエスカレータのある検索結果とかね、乗り換えで、そういう検索結果を出したらいいよねとか、ルート案内を結果に出そうとか、そういうふうに(言って作ってもらう)

乱暴に、こういうふうに分けるとすると、最初は(自分は)1をやっていました。社会人になって、4~5年くらい。そのあとは2をやってました。
社会人9年めくらい?
転職をする前までくらいなので。
最近は3をやっています。そういう感じです。

神戸さん:
よくわかりました。
で、これをやられるようになられて、(関さんにとっては)ファシリテーションって、どういう感じなんでしょうか。

関さん:
3のところで、一緒に考える……何をしたらいいのかがわからない時に、誰が何に困っているのかって考えるとか、どういう未来があったらうれしいのかとか、どういうシーンで、どういう困ったを洗い出せばいいのとか。そういうことを。どういう機能があったらいいとか、どう実現したらいいかとか、業務フローをどうするかとか、実地検証の仕方とか。
(作りたいひとと真ん中、作れるひとのポイントポイントに、緑の丸を描きながら)この辺りに立ち戻って考えるやり方とか、1のひとなら(作れるひとに対して)いきなり作るんじゃなくて、プロトタイプ作って、で、作って欲しいひととか使う人の反応を見る機会があるといいとか(を一緒に考える)

ワークショップとしては、1の最後、2の真ん中、3の最初で発生したり、そこに戻ったりしていく(工程の)ワークをしてる。
この、緑の枠のところは、だいたいやってる。

神戸さん:
難しいのは、やっぱり3番だと思うのですが、1はやっぱり、やりたいことがわかっていて、ゴールもわかっているので、実現するための道筋がこう、何個かあって、そこに向かうためのやり方とかを考えていくっていう、だからやりやすいと思うのですけど。
3っていう、不満があって、でももやもやしてるというか、何が不満かわからない? あるいは、その不満自体にも本人が気がついていなかったり、そういうところでは、なにをやるんですか?

関さん:
この3の緑の原点は、2つにわかれるっていうのがあって。

既存の手段? それにかわる代替手段があって、その代替手段として、未来の手段を作るやり方と、今はない新しいシーンを想像して、そのシーンで使う仕組みを考えて新しいものを作るっていうことと。
最近は、そのシーンの開発問いうものに取り組んでいるコンサルタントというものもいて、だからきみは「どっちをやりたいんだ」とか。

神戸さん:
後者の(新しいシーンを想像してという)ほうがよくわからないんですけど、あ、企業秘密だったらいいんですけど(笑)
ちょろっと(例を)出せたら…。
なんだか、それって、誰も不満じゃないのに、不満を出させている気がするんですよ

関さん:
(笑)

神戸さん:
今じゃない未来とか、今無い未来を考えるっていうことですよね。
でも、人間の想像力は無限大っていうけど、でもそんなことはなくて、人間の考えうる限界って決まっていて、でもそれって実現不可能だったり、あの、タイムマシンとか。(笑)
それから実現可能だったら、誰かがもう進めているものだったり、社会的発展にそれって結びつかないものじゃないかなって思うのですけど、でも、3でやっていることはすごく意味のあることだと思うので、それって1人で考えたり? そういう(ひとに)何をしているのかなっていう。

関さん:
これって2種類あるんですよ。
(緑の丸をさして、AとBの枠を描く)

A:既存の代替手段(代わる手段の発見)
B:新しいシーンの開発

Aは学術界からヒントを得て、そこで出た方法とか、理論とかテクニックとか、技術とかを使ったらどういう未来ができるのかとか、そういうことから始まる。
これはだいたいが国家予算をかけていたりとか、産学連携みたいな形で、新しく作った技術を産学連携で企業さんが持って行くとか、だいたいこのケースで。
まあ、金の鳴る木なので……これがひとつめ。これは王道ですね。これをやりたいひとたちは、近い未来像を持っているところを探して、お金をかけてやっていけばいい、そこに入って。

ふたつめは、Bは、掛け算っていうのがあって。でもこれは難しいので、だからまずはBの場合は、年表、過去を洗い出して、年鑑とか年表とか、そういう、日本史とか世界史にはありますよね、こう、ここが変わり目だと、世界の変化のタイミングみたいなことが。

神戸さん:
産業革命とかですね。

関さん:
そう、図書館にある、みたいなそういうものを洗い出していって、そこから考えていく。
みっつめは、これから困りそうなこととか、日々疑問に感じながら生活をしていて、ある日はっとこれだ! っていうのを待つ道かな。

神戸さん:
仮説……今までなかったの仮説とかから出来るものを考える、次が過去の事例や世界が変わった事例を学ぶ、それから日常に隠れている小さな不満を拾い上げる。

おもしろいですね、うん、これはとても有効な感じがします。おもしろーい!

3つめは、哲学者的にはよくやっていることなので、でも、1つめは無いですね。
やっぱり、新しい技術みたいなものが、文系ではあんまり出来てこないので。
2つめは、歴史を学ぶと出てくるかもとは思うのですが、2つめの難しそうだなと思うのは、違うファクターがいっぱいある、時代も違うし、生きているひとも違うし、国際情勢も違うし……それを現代に置き換えるというのは、さっき掛け算っておっしゃっていたんですけど、現代に置き換えるっていうのは、よくわからない……。

関さん:
おそらくポイントを絞らないと、たとえば、人間が何かにかける時間を短くしたっていうことを見つけて、そのテクノロジーを見つける。でもこれって1人のひとがやるには時間も足りないし、時間自体もかかるし、そういうのって疲れるし、やってる間に人生が終わってる気もする(笑)

そういうことが、出来るっていうのは、たぶんそこ(問題)の近い職業を持っている人かなと、ある歴史について学術的に詳しい、その歴史をすべて言えるいたいなひと、そういうひとが、作れるって言うひとのところに行って(作る)。全然興味のないところに、いきなり殴りこんで(笑)いったとしても、たぶんそういうことは出来ない。

神戸さん:
あの、この話もそうですし、関さんってお話がすごくクリアで、関さんに来るお客様も、(作りたいものが)できそうだなって思うと思うんですけど、わたしも、おおって思ってて、それで今日お家に帰るけど、じゃあ明日ひとをよんで、これをやろうとするとたぶん出来ないと思うんですよ(笑)
本当にできるようになるっていうのは、こういう(考え方?)ことと別な工夫やテクニックが要ると思うけど、整理して伝えるっていうこと以外に、
お客様に伝えることとか……関さんが居なくても、このステップを組んで、自分で進んでいくことのできるようになるように(しないといけない)。

うん、「知る」と「出来る」の橋は、どうやってかけるんですか。

関さん:
(考える顔でお水をゆっくりと飲む)

聞くひとの姿勢というか、まあ、聞く姿勢も……あるんですけど。
えっと、教育学的には、知識と経験って分けていて。
知識っていうのは文字通り、本を読んだりいとか人から得た情報を、知らなかった世界に対して知っている自分になるということ。
だから高校受験とか大学受験とかは知識のテストばっかりですよね。
でも、社会人になると急に変わって、
別に全部の選択肢が正解で、どれ選んでもいいけど、なんでそれを選んだの
か明確にしてねっていう根拠を求められる業務が非常に多くて、
その判断を求められる、判断ができる自分になるためには、自分で経験して、やってみたことが、やってみた結果こうなったという事例を知っていてl、それを自分の言葉で話せて、自分の経験の代替にするというのがだいたいで。

神戸さんがうんうんっていう、それは知識として入ってきただけですよね。
代替手段にするところまではたどり着いていない、だからわからなくなっちゃう。

神戸さん:
(頷く)

関さん:
だとすると、小さい目標を立ててそこに辿り着いてもらうとか、ややってみてもらうしかない。場数を踏むというか、ひたすらやるだけやった結果。でもその結果は誰からもFBをもらわない、自分でひたすら書き出して自分で見て自分で考えて、やって満足するだけ、自己満足。
だからそのままだと正しいかどうかとかはわからない。自分のなかにそれが眠っているだけ。

でも複数人で、アウトプットしたものを、FBをもらって経験にするという方法もある。
前者はガリ勉さんというか、引きこもりさん。いくらそこに人生の半分の時間をかけていても、それは経験にはならない。
後者は、誰かしらから、たとえば漫画家だったら家族にでも読んでもらうとか、それで誰かにFBをもらって、それを反映したりすると経験になる。

質問の話にすると、聞いただけではダメで、できるようになるにはどうしたらいいか。それは3ステップ。
聞いて終わるだけにするということ、
自分のなかで疑似体験化するステップにすること、
FBをもらって、改善して、そこまでやるっていう、その3段階。
自分はどこまで知識を目指したいかは、聞くときに自分で選べるはず。知っただけでいいとか、仕事で給料を上げたいなら聞いて経験しないといけないとか。

神戸さん:
学ぶっていう段階もありつつ、60人とか居て、一緒にワークをやってみるというなかの場で、練習をシてみて擬似的な経験をしてみて、さらに経験にしてそれを身につけるまで持っていくということですよね。

関さん:
そうですね。月に何回かはやっていて、(この会場にも)来てもらっています。

神戸さん:
お客様だったひとがいるんですね。

関さん:
3分の1くらいそうかな……。

神戸さん:
今すぐ何かを身に着けたいんだっていうひとと、まあ聞ければいいやっていうひとがくると、喧嘩になって、

関さん:
そうです(笑)
1のタイプと3のタイプで一緒にすると喧嘩になる(笑)

神戸さん:
1のひとは1のひと、3のひとは3のひとでテーブルをつくって、ほしいものが違うと喧嘩になるけど、一緒だとうまくいくんだっていうことですね。
ところで、これは関係ないんですけど、話していて質問をすると、これは「5のポイントが」あって、とか「3種類」あってとか、
そう言うのが面白いなと。
体系とか枠組みは、はじめから総整理して理解されているんですか?
説明の時に手法としてわかりやすいからそうしているんですか?

関さん:
その時考えてしゃべっています、。
だから次聞くと、違うこと言ってるときもあります(笑)

神戸さん:
3つとか9つとか言ってましたけど、そういうお話のされ方をするのは何故ですか。

関さん:
答えは1つしかないです(笑)
聞く姿勢っていうのもあって、スピードラーニングのようにシャワーのように言葉を浴びて聞くとか、
自分のなかで体系化しなくていい、とりあえず身体の機能を鍛えるための訓練、音を聞くとか耳になれるとか、そういうのと、過去の経験の中で自分の気づいていることと、それぞれマッピングしたり経験を整理したいという聞くっていうことと。

後者をやろうとすると、がーってたとえば4つのことを喋っていると、(聞く側が)整理できない。
パニックになって(できない)
その瞬間、聞くのをやめたりとか、モチベーションが下がる。
後者をやろうとするときに、連続で違う話を一気にやるのは、暴挙だと思っていて。

じゃあ、何個の話をしようとしているのか、最初に宣言しておけば、すくなくともぐしゃぐしゃにはならない。

神戸さん:
ノートもとりやすいんだろうなと(笑)
聞く人が整理しなければ、体験しないということですね。
すぐ出来るようになりましたか?

関さん:
簡単です。
「2つ話します」って、言うだけ。(笑)

神戸さん:
なるほど(笑)

関さん:
やってみたけど、3つめがなかったら、3つめは自分で考えてくださいって言えばいいんです(笑)

神戸さん:
今日から出来るテクニックですね(笑)

関さん:
これを教えてくれたのは前職のマネージャ。
話したいことがいっぱいあるのに、お前は幾つ話そうとしているんだって毎回注意されていて、そのマネージャはお客様と話すとき、必ず何個はなすのか
言ってた。それを真似した。それを取り入れたのがはじめで……4年前くらい。

神戸さん:
聞くほうが、どのくらい時間がかかるとか、あとこのくらいくるぞっていう心構えができるんですね。
逆に聞き役になるときに、
話がよくわからないひとっているじゃないですか。向こうがシャワーのように、よくわからない情報をがーって言ってくる場合、作りたいひとの立場からはよくいると思うんです。

もやっとしているけれど、なにがもやっとしているかわからない、よくわからないなりに、話し始めるとあっちいったりこっちいったりして。

関さん:
だから真ん中のひとで、それを整理しながら、落とし込みながら聞いてあげないといけない。問いなおして、話しているひとに、自分が整理できるようにしてあげたい。

手ぶらで聞かないといけないときと、情報カードとペンを持っているときとでやり方がずいぶん変わる。わたしはいつもこういうもの(情報カード)を持ち歩くようにしていて、飲み屋でもすぐ取り出して書けるようにしたりとか、話が発散してきたら、キーワードを書いて並べていって、話が戻ってきたら書き足して、
カードワークをする。で、このなかで一番重要なものはどれって聞く。

神戸さん:
(ペンなどが)使えないときは?

関さん:
使えない時は傾聴とかアクティブリスニングの技術をうまく駆使するしかなくて。
良い聞き手になるための学術的方法が、ここ数年でいくつも確立されていて、傾聴だと相手に興味を持つとか、相槌とか頷くとか、繰り返し言う、言い換える、プラスワンのことを加えて繰り返すとか。
ある程度までの段階にきたときに、整理するという段階が生まれるので、この話はあとでまた聞きましょうと分断したり、後回しとか、切り捨てたりとか。
ファシリテーターのときは、アクティブリスニングの手法を紹介してから、今日のワークをやってもらうということとかがよくある。

神戸さん:
なるほど。
(わたしと)真逆だなと思うのは、話していてまとまっていなくてもいいですよとか、まとめないで話していいですよとか(言います)
メモも、取らないでくださいという感じなので……。3つありますとかも言わないし、カードとかも使ってもいいとは思っているけれど、使うgときとは違うことをしたいから、使わないし、目標も決まってないし、どっちにいってもいいよと、時間も切らないし……1回しかやらない、繰り返すこともないです。そうするとできるようになった
という感覚が、だいぶ違うんだろうなと。

そういう、ご自身でできるようになったことでもいいけれど、そういうことをしてきて、役に立ちたかったと言っていましたけど、変化が、何か、ありますか。

関さん:
ファシリテーター側から? 聞き手側?

神戸さん:
ご自身が。

関さん:
ファシリテーター側ですね。

神戸さん:
ご自身が変わった、何かを得た、というのものは?
自分の活動によって、自分に何が起きているかという実感があるか。

関さん:
あんまり実感はないですね。
感想を聞くか指摘をもらうかほめてもらうか……実感はあまりない、お給料が上がるわけでもないし(笑)

神戸さん:
そうすると、活動を継続したり、発展させていくモチベーションってなんですか。

関さん:
大別すると2つで(笑)
1つは本業の給料を上げる。
コンサルティングファシリテーションを業務外の時間で経験値を上げる。
本当はそれを、自分でお金を払って塾にいったり、コーチについたりしてやるものなんでしょうけど。
それを、自分のやりたいタイミングで、やりたいひとにきてもらって、それでお金ももらえるという、それは全然違う。
ギターを習ったりヨガを習うのと同じ感覚で、コンサルの技法を失敗パタンを見て学ぶとか、こういうことをすると失敗するから、お客様にはやめておこうとか。
そういう(習い事と)のと同じなので。
自分が必要ならいつでも開催できるというのはとても大きくて、仕事とは何も関係ない数100人のひとたちとchannelが作れるとか、
そういう世界を自分でコントロールできている、自分が楽しいし、自分が特別感がある。で、モチベ^ションが上がる。

神戸さん:
経験をして、FBを得る。自分で体験して、自分で学ぶ場を自分で作れる。そういうことをしているひとって他にいるのかな……。

自分でお金を稼ぎたいから事業化するとかじゃなくて、自分でやってみようっていうひとはあんまりいないと思うけど、自分で最初からそう思って始めたんですか?
あとから振り返るとそう思ったんですか?

関さん:
うーん……。自分で主催は、始めたのは5年前。
そのときは自分が学びたかったテーマが、日本でやっているのは、年間に2
回とかしかなかったから。

わたしはもっとこの分野とかテーマについて興味もっているひとと会いたいし、議論したいし話したり整理したい、仕事に活かしたい。でもそういう場は無いから、自分で作ったというのが一番最初。

神戸さん:
今日、参加者のみなさんからも、こういうことが聞きたいですとか、質問をいただいてというか(関さんから)まとめたものを送ってもらったけど、わたしからは聞かないです。
なぜなら、その問いは、そのひとがそれを聞きたいというひとの背景とか、いろいろあって聞きたいんだと思うので、それをわたしが聞いても、同じ内容でも違うものになって、あとでちょっと違うとなると思っているので。
だから直接の質疑の時間を長くとりたいと思っているんです。

だから、では、最後の問いです(笑)
ファシリテーターはどこにいますか?

ここにいます以外で……いや、ここにいますでもいいんですけど、どこにいますかって、どこにいるのかな……よくわからないけど。

関さん:
どこにいるんですかね(笑)

神戸さん:
どこにいるんですかね(笑)

場所で探すのは難しそうですね。

関さん:
こういうことが出来るひとをさがす……

(聴衆席から誰々は、という声が飛ぶ)
関さん:
うーん……
誰々さんだって、外に出始めたのは去年出し……僕がやれやれっていって、出て行けっていって自分で生み出したというか、できそうな人を見つけてるっていうか(笑)
職業がらできそうなひとを見つけて、させたりしようとしたり、
ここにもいますけど(笑)

(聴衆のかたを指す)

神戸さん:
質問を変えましょう。
オンリーワンということなので……じゃあ、ファシリテーターがどこにもいないのは何故ですか。

関さん:
なんで、(ファシリテーターに)ならないんだろう……他にやりたいことがいっぱいあるんじゃないですかね。

神戸さん:
やりたいことが……でもこれってやりたいことをやるための方法なので、
やりたいことがいくらあっても、やりたいことと一緒にやるものじゃないですか?

関さん:
やりたいことを自分でやるための場を作りたいひと……作れるひととか。緑のひと(と1~3のパターンのイラストをさして)とかは、自分でやらなくてもいいです、サポーター的な、こう、尻に火をつけて燃やす的な(笑)、そういうポジションが楽しくなるような人種。俺がやりたいっていうひとは、緑のひとじゃなくて、作りたいひとになると思うんですよ。

神戸さん:
関さんは、青のひと(作りたいひと)にはならないんですか。

関さん:
これからなります。もともと青になりたかった、でも自分が人生かけてこのビジネスやっていきたいってものが見つからなかった。じゃあ見つかるまでは、やりたいことのあるひとの支援に回って、見つかったらスーパースタートダッシュを決めようと思って、みどりのひとになった。
だからそういうひとを見つければいいのかも。

神戸さん:
何かの途中にいたり、何かと何かを結びつけることが楽しいと思う人?

やっぱりわからないのが、そこに情熱を感じる理由は、なんですか?
これが楽しいとか、これをやっていることに生きがいを感じるとか、理由……

関さん:
僕は教えるのがすきだった。小学生のときはずっと弟に教えていたし。学生のときは調理番をやっていて、ずっと後輩に教えていた。多分自分が教えているのはもうずっと……7歳くらいから何かしら教え続けている人生だから。そこから教育学に進学もしているし。

神戸さん:
どこにいるか、は、おしえることがすきなひとをさがすですかね。